盛綱は約束どおり、自ら「大般若経」を読んで浦の男を弔います。そこに浦の男が亡霊となって現れます。浅瀬を教えたのだから謝礼があってよいはずなのに、逆に二度も胸を刺し通され海に沈められた、と盛綱を責めますが、結局は、思いがけない仏の救いを得て成仏できた、と言い残し消えていきます。
能『藤戸』は、『平家物語』を典拠にしています。源平の戦いの最中、佐々木盛綱が浅瀬の場所を浦の男から聞きだした上、殺してしまいます。
『平家物語』では、戦場での加害者の非情な行動を描いた小さなエピソードにすぎません。しかし能『藤戸』は、同じ出来事を被害者の側、それも殺された男とその母親という二人の怨恨を深くえぐることで痛切な物語に変えています。 (希)
幽玄な能楽の後、北野ガーデン料理長・福原 俊亮が心を込めてつくりあげたフレンチをビュッフェスタイルでお召し上がりいただきました。
次回の芝能は2016年10月5日(水)を予定しております。
皆様のお越しを従業員一同、心よりお待ち申し上げます。